「恭弥、花火見に行かないか?」

 

「嫌だよ」

 

 

 

 

 

 

Happy day

 

 

 

 

 

 

「何でだ?和食好きな恭弥なら、ジャッポーネの文化も好きだと思ったんだが?」

「僕が群れるところに行くと思う?」

「・・・ツナが100点取るくらいありえないな」

何、その何気に可哀そうな例え。

誰がどの角度から見てもかっこよく映る座り方をしたが、スプーンで紅茶をかき混ぜながら言った

風紀委員の仕事があるのだからこんなにのんびりしていられないはずなのだが、恐るべき速さの筆記力により、つい2時間前に終わったばかりだ(ばかりじゃねぇ

ところどころ、イタリア語が混じってたりするが雲雀にバレるまで秘密の話である。

雲雀は、が淹れた紅茶を口に含んだ

「ところでなんで急に言い出したの?」

「ああ。もとから行く予定だったんだが、白兎が用事があるとかで行けなくなってしまってな

恭弥なら見回りがてらにOKかと思ったから」

「私も他のヤツを誘ってみたんだが、みんな用事あるらしくてな。ツナとか、武とか、ディーノとか、エアとかな」

ハッ、野郎ども。ざまぁみろ(壊

誘いを断ったけど、他の男と出かけるなんて僕が許さないからね

そんなお決まりのデートスポットみたいなところに行かれたら僕は、そいつを咬み殺すしかないじゃないか

っていうか、僕が最後のところが気に入らないんだけど

どうしようかなー、と呟いていたベタに手を叩いて立ち上がった

「隼人に聞いてなかったな!アイツならOKだろ!」

「ちょっと待ちなよ」

有言実行!とばかりにさっそく応接室を出て行こうとするの制服を掴んだ

半ば驚きつつもが振り返ると、真剣な顔をした雲雀が目に入った

「・・・どうした?」

「僕が行くよ」

「いや、いいよ。もし隼人がダメだったら、草壁でも誘もっとダメだから」・・・じゃ、花火大会の場所で待ち合わせな!」

それを聞いて嬉しそうに微笑んだ彼女を見て、ほっとする

どっちにしても、あの草食動物は咬み殺し決定だね(哀

 

 

 

 

花火の行われる場所。つまり、土手まで来たわけだが、

「なーんで、誰もいないんだ?」

誰かが掃除でもしたのかってくらい、見事に無人地帯

場所はあってるよな?と思い、何度も思い出してみるが記憶違いでなければ、ここで間違いないはずだ

「・・・覚え間違えたか?」

だとしたら、最悪だ

絶対、恭弥怒ってるって。おまけに、誰もいない土手って幽霊出そうで怖ぇよ

そりゃ、私だって苦手なものくらいあるよ!文句あるか?あ?(逆ギレ

家に戻って確認しようと、今来た道を帰ろうとしたとき、誰かに肩を叩かれた

「ぎゃぁあぁあああぁ!!??」

「何驚いてんの」

色気もへったくれもない叫び声をあげると、いやになるほど毎日聞いている声が。

呆れた感じを隠そうともしないこの声は!

「きょ、恭弥か・・・。驚かせるなよ」

「僕、普通に肩叩いただけだけど」

「いや、そうだけども」

もしかしたら、幽霊が苦手だって言わないほうがいいかもしれない

だって、絶対いじられそうだし

まだ、額に残っていた冷や汗を袖で拭ったとき、雲雀の視線に気づいた

「ん?恭弥、どうかしたか?」

惚れてる雲雀としては、無理もないことだ。は気づいてないけどさ(by.ルーチェ

そう、花火といえば浴衣。というわけで、は浴衣を着ているのだ

まあ、雲雀も着ているのだが

さすがに、も制服じゃない雲雀は初めて見る

「へぇ、恭弥って和服似合うな」

「君も日本人じゃない割には似合ってるよ」

「何だ。貶してんのか」

「・・・褒めてるんでしょ」

ムカつくな、コノヤロウ。半ば俯きながら言ってるのが、興味ないって言ってるみたいで余計にね

とは、口が裂けても言えません。いくら殴られ慣れているとはいえ、さすがにトンファーは痛いですよ

このときは薄暗くて分からなかったが、雲雀の顔は赤くなっていた

そこで、は先ほどの疑問を思い出した

「ところで、恭弥。なんでここら一帯、人がいないんだ?」

「僕が群れるのが嫌いだからに決まってるでしょ。風紀委員に追い払ってもらってるんだ」

哀れ、風紀委員

これで人が一人でも入ってきたら苦労も報われず咬み殺されるんだから、可哀そうで仕方がない

もしかしたら、並盛一の苦労人達は風紀委員かもしれない

まあ、彼らは実質的に雲雀ファンクラブみたいなものだから、別にいいのかもしれないけど

まあ、そんなことは置いといて(いいのか

「じゃ、恭弥。行こうか」

にっこり笑って手を引っ張ると、案外すんなりついてきた

・・・これから、雨とか降らないといいけどな

 

 

 

 

ということで、は林檎飴を舐めながら、雲雀とともに移動中

「思うんだけど、それどこから出したのさ」

「恭弥、それは乙女の秘密ってやつだよ」

「君、女の品格なんて気にしないとか言ってなかった?そもそも、君に乙女なんて言葉似合わないよ」

「そんなの本人が一番承知してるよ

が現在進行形で舐めている林檎飴を指差して、雲雀が聞くがなんだか泥沼(?)化した

何だよ、この人。何で今日は嫌味しか言わないんだよ!

それは、雲雀が照れてるからですけどね

先ほどからチラチラこちらを見てくるので、取り敢えず雲雀の口に林檎飴を突っ込んだ(ぇ

「!?」

「あ、花火」

突然のことに驚いている雲雀を意に介さず、夜空に上がった大輪の花を見上げる

「な、恭弥。来年も平和に、平和に見られるといいな」

「それは僕に、群れを噛み殺すな、ってこと?」

「そういうことだけど・・・って、行った傍から行くな」

実はさっきから遠くの方で、集団がいてだけが気づいていたのだが、雲雀も気づいたらしくトンファーを取り出す

哀れな一般人と風紀委員の命を守るために、もちろん雲雀を止める

「離しなよ」

「ダメだから。誘ったの私だが、もう帰るぞホントに」

「ワォ、僕に指図するの?」

「花火見に来たんだから穏便に済まさないか?」

そう言って、問答無用で雲雀を引きずりその場を去った

花火じゃないんだから、命という花を散らすなよ。

 

 

 

 

<あとがき>

Joker様からで、雲雀をヒロインが引きずるということでしたが・・・、引きずってんのか?

ギャグを抜けば引きずれるのに、ギャグが入るとヒロインがヘタレていくという、悲しき真実。周りは並々ならぬボケで、ヒロインはツッコミだからなのか?

ええもう、炙るなり焼くなり煮るなり好きにしてやってください。

リクエストありがとうございました!これからも、*現実逃避*とルーチェをよろしくお願いします!